神の手

電源スイッチを押してもウンともスンとも言わなくなった端末の前で、OA関連担当の後輩K君とどう対処しようか話し合っていた。バイオスからダメになっているようで打つ手がなく、ハードディスクが壊れてないことを祈るばかりの状況である。

「どしたんですか?PCが動かない?先週まで普通に動いてましたよ」

何時の間にか近寄ってきていた後輩N君が、そう言いながら電源スイッチを押すと、あれほど何をしても起動しなかったPCが、「ピロッ」という音と共にあっさり立ち上がった。

K君は、「OAトラブル対応マニュアルに『N君の奇跡の手に頼る』という項目を追加したい」と言っていた。