真似

息子は天気予報が好きなのだそうだ。テレビが天気予報の画面を映し出すと、遊びの手を止めてしばらく画面に見入っているのだという。そんな中、先日僕が膝を立てて座椅子に座っていると、『てれび、やるよぉ〜』と言いながら息子が足の間から顔を出した。

『きょうの、てんきです。きょうは、ウンチでしょう!(爆笑)』

どうせお姉ちゃんの真似を取り入れるのなら、是非とも別のところにして欲しかった今日この頃。どうして子供というのはこうも一番真似してほしくないところから取り入れてしまうのだろうか。

動力

自分が考えている以上に、子供の相手は体力を消耗する。先日、娘と息子を交互に相手していると、ペースを見誤って力尽きそうになったので、ちょっとした拍子で寝転がったと同時に一旦動くのをやめて脱力してみた。

『でんち、なくなっちゃったね〜、かえなきゃね〜』

どうやら息子は自らの父親を電動扱いしているようだ。自分とプラレールが横並びで考えられているかと思うと、少々ショックな今日この頃。ちなみに、ママとお姉ちゃんは電動ではないらしい。

拒否

酔っぱらった父から電話がかかってきた。父は酒癖が非常に悪く、周囲の反応次第では怒鳴り散らすこともある所謂『怒り酒』のため、非常に厄介だ。そんな中、酒に酔うたびに『すぐ孫に会えるように、早く(関東に)帰ってこい』と連呼して止まらない父をよく知る妻は、電話番号を見て僕の父からの電話だと分かると、すぐさま娘本人に電話をとるように命じた。

『まだようちえん、おやすみやないねん!』
『すーぐーにーはーむーりーでーすーっ!』
『もーっ!めんどくさいっていってるやろー!』

気持ちは分からないでもないので普段は『そうなったらいいねー(苦笑)』程度でやんわりとごまかしているのだが、本人がバッサリと拒否してくれたので、何となくスッキリした気がした。

学習

子供も大きくなり多少ラクになってきたので、今度日帰りで鳥取砂丘に行こうと妻が言った。ふと悪戯心に火がつき、妻に『島根と鳥取ってどっちがどっちだっけ?』と訊ねてみると、妻は勝ち誇った顔で『島根が左、鳥取が右』と答え、あっさりと正解した。愛知を四国に入れてしまう妻を知っている僕は驚いた。娘の本で一緒に覚えたのだそうだ。

もう『トンでも日本地図』の説明が訊けなくなると思うと少し寂しい気がする今日この頃。でも、ママ友から訊いたという、『京阪神から鳥取まで1時間ちょっとで行ける』という情報は、流石に大間違いな情報だと思う。

疑惑

1ヶ月ほど前の出張を終え、最近勤務に比較的余裕があるので、メリハリをつけようと考えていた僕は、ある日、ほぼ定時直後に退社し自宅へ直行した。夕食を作っていた妻は帰宅した僕を見て驚いた後、こう言った。

『ほんとに会社行ってる?』

その週末、散歩がてらに息子を阪神競馬場に連れて行った僕は、帰宅後、妻にパドックやゴール前での息子の様子を話していた。すると、妻は突然僕がこれまで何回阪神競馬場へ行ったことがあるかを聞いてきて、数回くらいと答えた僕にこう言った。

『そんなに行ってたっけ?会社サボって何回か行ってるんじゃないの?』

ひょっとして妻は、僕がとても暇な奴だとか、仕事ができなくてリストラ直前だとでも思ってるんじゃないだろうかと思う今日この頃。

印象

夕食が久しぶりのカレーライスだったその日、甘いカレーを子供達に与えた妻は自らの分の準備に取り掛かった。しばらくして子供達の様子に気がついた妻は、『え?!もう食べ終わったの?』と、子供たちが予想以上に早く食べ終わったことに驚いていた。その後、僕の方に振り返った妻は、睨みつけるようにしてこう言った。

『変なこと教えてないよねぇ?カレーは飲み物とかなんとか』

確かに比較的に多く食べるということは認めるが、そのイメージだけで変な想像をしてほしくない今日この頃。でも本気でそう考えていた時期がないこともないので、反論は控えておいた。

伝達

娘は、悪いことをした時や自分に都合の悪いことを言いたいときは、それを手紙に書き、渡すと逃げるように離れていく。そんな中、娘は帰省中に義父と一緒にテレビを見ていた時、こんな手紙を書いたという。

『このテレビはもうすぐみれなくなります。すぐにかえてください』

この文章のどこが言いにくいことだったのかは不明だが、そのことはおそらく画面を見ていたおじいちゃんは分かっていたと思う今日この頃。娘はいつから地デジ化応援隊の一員になったのだろうか。