祖国

 3連休の中日の深夜、息子は突然鼻血を出した。これ以上布団に血をつけまいと、妻は息子の鼻をティッシュで押さえたが、一旦止まっても気になって鼻を弄ってしまうためか、その晩中何度も再発した。
 念のため翌日連れて行った病院では、それほど心配するほどのことはなく、消毒のみの処置だったが、処置を施されながら妻は、その後のことを看護師に訊いていた。

『明日から帰省するんですが』
『どのくらいですか?』
『一ヶ月くらいです』
『海外ですか?』

 外国人に間違われたことがない妻は、驚きながらも国内だということを看護師に告げていた。果たして我々一家は何人ファミリーに見えたのだろうか。