転落

『あのなー、今日なー、芝生のところでエンピツしてきたんやでー』

阪神競馬場内の公園へ親子遠足に行った娘は帰ってくるなり、休暇を取って息子と留守番をしていた僕にこう言った。その後ろから家に入ってきた妻は、『芝生の坂みたいになってるところで横になりながら何回も転がってたよ』と半ば呆れながら説明し、あれのどこが楽しいのかと、しきりに首を傾げていた。

芝生とエンピツというキーワードだけで内容を瞬時に把握した僕には、まだ多少の少年の心が残っていると思った今日この頃。あの楽しさは妻にはどうにも理解しがたいようだ。